蓄電池選びの教科書

2020年6月12日


オール電化住宅も近年増加しており家庭で使用するエネルギー全てを電気に統一し、光熱費を大幅に削減することに成功しています。こういったオール電化住宅はガス給湯器やガスコンロが利用できないので、それに代わるエコキュートやIHクッキングヒーターを導入することになります。

エコキュートやIHクッキングヒーターは沢山のメリットがある一方で一つの明確な弱点がございます。
台風や地震などの自然災害で大規模停電が発生した場合には、電気で動くこういった設備が全く機能しなくなる可能性があるということです。

昨年関東地方を襲った台風は千葉県全域に停電が発生し、オール電化住宅が全く機能していないという報道が流されていました。エネルギーを何か一つに統一するのはリスクがあると不安に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし、この考え方は極論にすぎません。
大規模停電時にはガス給湯器なども使用できませんし、停電時に困ってしまうのはガス+電気の家庭でも一緒です。

最近災害時の非常用電源として注目されているのが家庭用蓄電池です。
蓄電池は電気を蓄えておく設備であり、エネルギーを電気に統一しているオール電化住宅には非常に心強いものでございます。

万一の停電時でも通常の家電はもちろん、エコキュートやIHクッキングヒータまで使用できるものがあるのです。
そこで今回は、万が一の停電の際にもエコキュートやIHを使うことを可能にする「蓄電池」の選び方をご紹介します。

どんな蓄電池ならOK?

大規模停電が発生した場合でもエコキュートやIHクッキングヒータなどの設備が利用できる蓄電池の条件についてご案内させて頂きます。一口に蓄電池といってもさまざまな種類がありますので、まずは基本的な知識をおさえておいた方が良いでしょう。

蓄電池

蓄電池はもともと工場や鉄道設備など、大規模な施設のバックアップ電源として利用されてきたものです。それが、東日本大震災を契機に、災害時の一般住宅での非常用電源の必要性が注目され、家庭用の蓄電池の需要が急激に高くなったのです。

名称から分かるように電気を蓄えておくものとなります。
電池と聞くとリモコンなどを動かすために利用される単三電池などをイメージする方が多いと思いますが、このようなタイプは一次電池と呼ばれます。

何度も充電・放電が可能となる蓄電池は二次電池と呼ばれます。
一般住宅での蓄電池は停電に備えるため、持ち運びができるポータブル蓄電池と太陽光発電などと連携できる定置式蓄電池がございます。

違いは蓄電容量が異なる点や普段の生活の中でも電気代削減効果を期待して利用できるタイプとそうでないタイプの違いがになります。

種類

蓄電池といっても色々な種類があります。身近なところだとスマートフォンのバッテリーも蓄電池ですし電気自動車のバッテリーも蓄電池です。蓄電池には大まかに3つの種類に分かれています。

1つ目は電力系統用大型蓄電池といわれて大規模太陽光発電や風力発電に組み込み、電気の需要と供給のバランスを調節します。2つ目はは家電などに放電できる定置型、3つ目は容量の少ないポータブル型です。

普段の生活の中で使用する場合は比較的蓄電容量の大きな定置式蓄電池を採用します。
このタイプは太陽光発電設備などと連携して家庭で消費する電力を全て自給自足にするということも可能です。

安い夜間料金などを利用して昼間に発電できる電力を全て売電し、売電収入を増やすことも可能となるのです。
停電時には非常用電源としても利用できるなど、さまざまな活用方法があります。

推奨スペック

エコキュートやIHを動かす蓄電池のスペックはどのくらいのものがあれば良いかご存知でしょうか。
まずIHやエコキュートは大量に電気を使用するので、使用する電圧が大きく設定されて200V仕様のものが多いです。

この場合は100V仕様の蓄電池は当然使用することができません。
ご自宅のIHやエコキュートの電圧をきちんと調べておき、それに合ったものを購入しなければいけません。

IHの中には100Vで動くものもあります。
蓄電容量についてはメーカーや販売店のサイトなどで確認したときにKW(キロワット)と書いているのが、その機種の蓄電容量となります。

蓄電容量と実質容量の2つが記載されております。
メーカーの説明による満充電の場合の必要な蓄電容量を計算してみましょう。

4.2kWの蓄電池の場合は冷蔵庫24h、テレビ3h、照明5h、スマホ充電1台分を三日間使うことができます。
6.5kWの蓄電池の場合は冷蔵庫24h、テレビ3h、照明5h、炊飯器1回、スマホ充電3台を三日間使うことができます。

大規模自然災害が発生した時には1日以上停電になることも珍しくありません。
上記のことを踏まえると最低でも4.2KW程度の蓄電容量は欲しいというのはわかりますね?

エコキュートやIHまで使用したいと考えているのであれば、設備的に消費電力が大きいですし6.5kw以上の蓄電容量を持つものが安心でしょう。
家庭用蓄電池は容量が大きくなるほど価格が高くなっていく傾向がありますので、活用する予定も踏まえてどのタイプを導入するか考えておきましょう。

家庭用蓄電池は夜間電力や太陽光発電を組み合わせることで、非常に大きな経済的メリットを生み出すことが可能です。
したがって単純に災害時のためにというだけではなく、普段の生活でどういう使い方をするかも考えておく方が費用対効果を良くすることができるはずです。

蓄電池には全負荷型と特定負荷型という2つの種類がございます。
全負荷型はどのような家電にも繋げられますので、災害時には家全ての家電をカバーすることが可能になります。

特定負荷型というのはあらかじめ選択した家電としか連携できず、電力を供給できないものとなります。
万一の災害に備えるためには全負荷型を選ぶ方が使い勝手が良いでしょう。

蓄電池の選ぶポイントとしては200Vであること、最低でも6.5kW以上の蓄電容量が欲しい、全負荷型の蓄電池にする、の3つを意識すると非常時でもご家族の安全を考えた生活を実現できるのではないでしょうか。
注意が必要なのは蓄電池に関してはまだまだ普及し始めたところという問題があるため、設備の導入費用は比較的高くなります。

設置費用を含めると80万~200万円程度の費用が必要になりますので、災害対策だけのためにと考えると少し高い買い物になってしまうのもまた事実です。
太陽光発電などと組み合わせることで初めて大きな経済的メリットを得られるシステムですので、蓄電池単体ではかけた費用を取り返すのがなかなか難しい認識を持っておいた方が良いのではないでしょうか。

最近では数万円程度で手に入るポータブル式蓄電池も登場していますが、こういったタイプだと普段の生活に役立てることはできません。まずは蓄電池をどのように使いたい、導入理由などを考えていきましょう


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